葬儀費用っていくらぐらい?
葬儀費用の平均額は、121万円と言われています。(※第11回「葬儀についてのアンケート調査」日本消費者協会)
家族葬なども増えているので、この平均値よりは低価格で収まることが多いですが、とはいえ100万円前後はかかります。
「火葬のみ」でも20~30万円ほどはかかるものです。
これだけのまとまったお金を急に用意するのは、難しい。そんな出費だと生活が苦しくなってしまう。
そのような場合でも安心してください。対処法を紹介します。
葬祭扶助制度を利用する
葬祭扶助制度とは、喪主が生活保護を受給しているなど、経済的に困窮状態にある場合や、故人に身寄りがなく葬儀費用が出せない場合などでも、必要最低限の葬儀を行えるよう、国が葬儀費用を負担してくれる制度です。
「生活保護葬」とも呼ばれ、生活保護法18条で定められています。
遺族が最低限度の生活を維持できないレベルで困窮をしている、故人に身寄りがおらず、家主や民生委員さんなどが葬儀を行う場合などに利用できるとされています。
しかし生活保護を受給していれば必ず利用できるわけではありません。
もし、故人や喪主になる人が生活保護を受けていたとしても、家族や親族が葬儀費用を準備できると判断された場合には利用することができません。
生活保護葬では火葬のみしか行えませんが、自己負担なしで最低限の弔いをすることができます。

葬儀ローンを利用する
葬儀社によっては、クレジットカード会社などと連携をして「葬儀ローン」という形で借り入れを行えるところもあります。
対応できるか否か、分割手数料や金利についてはよく確認しましょう。
クレジットカードで支払う
クレジットカードに対応している葬儀社であれば、クレジットカード払いも検討しましょう。
クレジットカードであれば、分割払いやボーナス払い、リボ払いなどが審査なしで利用できます。
またポイントもつくというメリットも。
最近ではクレジットカード払いに対応している葬儀社も増えてきているので、確認してみましょう。
カードローンを利用する
カードローンを利用する、という選択肢もあります。葬儀用に作られた葬儀ローンと違って使い道が自由なので、葬儀後にかかる墓や仏壇などの諸経費にも利用できます。
また葬儀ローンに対応していない葬儀社でも利用できる点もメリットです。
こちらも金利や手数料などをよく確認しましょう。
故人の口座から「預貯金仮払い制度」を利用して支払う
故人の口座にお金が残っている場合、そのお金を使って葬儀費用を払えばいい、と考える方もたくさんいますが、注意が必要です。
家族が亡くなった時点「相続」という問題が発生します。故人の口座に入っているお金は故人の財産。相続の対象になり、勝手に好きなだけ引き出せるわけではありません。
その制限などが決められているのが「預貯金仮払い制度」です。この制度により、一定額までは他の相続人の同意が得られていない状態でも引き出せるようになっています。
もし故人に預貯金が残っている場合には、この制度を利用して葬儀費用に充てることも検討しましょう。

死亡保険金で支払う
故人が死亡保険などに加入しており、保険金が入る場合にはそちらを利用することもできます。
しかし、保険金が支払われるまでには時間がかかり、葬儀費用の支払に間に合わないことも。
その場合には、カードローンなどを利用して借り入れをして葬儀費用を支払い、保険金が入ったらすぐに返済をします。
すぐに返済をすれば、金利や手数料などがあまりかからずに済みます。
支給される葬祭費で補填する
国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入していた方が亡くなった場合、申請により自治体から5万~7万円ほど支給されます。(自治体によって異なり、東京23区は7万円、その他地域では5万円が多いです。)
また企業などの社会保険に加入していた場合でも、5万円前後をもらうことができます。
こちらも葬儀後に申請を行い、支給までに時間がかかる可能性があるので、まずはローンなどで借り入れをしてから後から補填する、ということになります。

葬儀費用を抑えるには?
そもそも葬儀費用をできるだけ抑えるにはどうしたらいいのでしょうか?
いくつか方法を紹介します。
市民葬・区民葬を利用する
市民葬・区民葬とは、自治体と協定を結んだ葬儀社が葬儀サービスを提供する制度です。
住民の負担軽減を目的とした制度で、あらかじめ自治体と協定を結んだ費用体系で葬儀を行うため、比較的費用負担を抑える事ができます。

火葬式(直葬)を行う
通夜や告別式などを行わずに、火葬のみを行う「火葬式(直葬)」という葬儀形式にすると、費用はかなり抑えられます。
葬儀社の火葬式プランは約10万円~25万円ほど、そこに火葬料金や安置料などを追加しておおよそ15~30万円ほどの負担になります。

一日葬を行う
火葬だけではちょっと寂しい、という場合には「一日葬」がオススメです。
通夜を行わずに、一日で葬儀を終えます。通夜後の料理などの費用がかからないため、通常の二日葬を行うより費用を抑えられます。
まとめ
葬儀費用を払えない時の対処法と、葬儀費用を抑える方法を紹介しました。
葬儀費用をどうしても払えない場合には
・葬祭扶助(生活保護葬)を利用する
・葬儀ローンを利用する
・クレジットカードで支払う
・カードローンを利用する
・「預貯金仮払い制度」を利用する
・保険金から充当する
・葬祭費から充当する
葬儀費用を抑えるには
・市民葬/区民葬を利用する
・火葬式(直葬)を行う
・一日葬を行う
日本では、お金がなく場合でもきちんと弔いができる制度がきちんと整っています。
葬儀社や自治体に相談をすれば「お金がないから葬儀ができない」ということはありませんので、安心してください。
時々「親の葬儀代が払えないから、遺体を放置してしまった」なんて事件もあります。そんなことにならないよう、まずは相談をすることが重要です。

この記事を書いた人
亀井 洋一 (葬儀の口コミ編集部)
東京都出身。親の葬儀を経験したことで葬儀業界に興味をもち、大学を卒業後葬儀社で勤務。10年の現場経験を経て、退職。
消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「葬儀の口コミ」を運営している。