葬儀の生前予約とは?
葬儀の生前予約とは、その名の通り「亡くなる前」に葬儀の予約をすることです。
本人や家族が葬儀社を選び、葬儀の内容(場所・人数・演出など)や費用などを決定して「もしもの時はこの内容でお願いします」と依頼をしておきます。
ただしいつ亡くなるか、その時の火葬場の空き状況は分からないため、結婚式などのように「×月×日×時から行います。」という日付の予約はできません。
葬儀の生前予約方法
まずは葬儀社を探します。
葬儀社を探す際には「自宅からの近さ」「HPにきちんと情報があるか」「口コミや評判」を参考にしましょう。
そしてまずは電話をしてみることをオススメします。
「葬儀の事前相談をしたい」と伝えたうえで話をして、その時の電話の担当者の反応や対応などで、自分に合うかどうかを判断します。
「この人話しにくいな」「この人頼りない」と思ったら、他を検討してみましょう。
葬儀は分からなにことだらけので、話しやすく頼りがいのある人と話を進めていくべきです。
葬儀社を決めたら、次に葬儀を行う場所や人数を決めて、見積もりを出してもらいます。
また「こんな葬儀をしたい」という希望があれば、伝えておきましょう。
見積りを見て、納得いかないところや疑問に思うところは質問をしながら調整を行います。
亡くなった後では、ゆっくり見積りを眺めて疑問を解消して、調整して、、、という事が難しいです。生前予約だからこそできることですね。
そしてもし自分の葬儀であれば「この葬儀社に頼んである」という旨と、葬儀社の連絡先を家族に伝えておく必要があります。
エンディングノートに書き込んでおく、直接伝える、どんな方法でも構いませんが、せっかくの予約が無駄にならないように家族に確実に伝わる方法をとりましょう。
自分以外の家族の葬儀であれば、葬儀社の連絡先を自分で控えておきます。
本人に知られたくない場合でも、自分以外にも知っている人がいると安心です。
葬儀の生前予約にかかる費用は?
多くの葬儀社が生前の相談を無料としていますので、実際に葬儀を行うまでは生前予約だけで費用が掛かることは滅多にありません。
会員制度などがあり、特典として自身の葬儀はもちろんのこと親族の葬儀費用も安くなったりする場合もあります。
入会金や月額費用などは一切かからない場合もあれば、入会金がある場合や月額費用が掛かる場合もあります。
入会金は葬儀社にもよりますが、高くても1万円ほどの場合が多いです。
1万円を最初に払うと、自身から3親等以内の親族みんなが特典を受けられるなどがよく見られます。
葬儀社に直接連絡をして、確認をしてみましょう。
生前予約のメリット
生前予約のメリットは大きく3つあります。
想定外の追加費用が少ない
生前予約をする最大のメリットは、事前にだいたいの葬儀費用を把握できるという点です。
生前予約の段階では、亡くなった直後よりも時間的にも心理的にも余裕があるため、費用をしっかり比較検討することができます。
祭壇はどんなものにするか、返礼品や料理はどうするか、どこの斎場を使うか?などが決まれば、費用はだいたい決まります。
亡くなった後、火葬まで時間がかかった場合の安置料やドライアイス代などは、実際の状況によって変動するものの「どのくらい変動しうるか」が事前に分かるので、それだけでも安心です。
生前何も準備をしていなかった場合、余裕もなく、よく分からず葬儀社の言われるがままに物事を決定してしまい、最終的に想定外の多額の費用がかかってしまうことが多いです。
もしもの時に慌てなくてすむ
人が亡くなると、すぐに葬儀社の検討・手配を行わなければいけません。
家族が亡くなって悲しいうえに、何も決まっていない。何をしたらいいか分からない。でも早く病室を空けなきゃ...。
このように時間的にも心理的にも余裕がなくなると、じっくり葬儀社を比較検討することが難しくなります。
その結果、複数社の金額の見積もりや担当者の良し悪しを十分比較することもなく、病院から紹介された葬儀社や最初に連絡した葬儀社バタバタと依頼することに。
ゆっくりとお別れの時間を過ごすこともできません。
生前予約をしておけば、もしもの時にに予約しておいた葬儀社へすぐ連絡が出来ます。
そうすれば慌てふためくことなく、大切な人とのお別れの時間をゆっくり過ごすことができます。
送られる人の希望を取り入れられる
葬儀といえば、残された家族が内容などを決めていくものですが、生前予約をしておけば亡くなった本人の希望を葬儀に反映することができます。
数年前に流通ジャーナリストの金子哲雄さんが、余命宣告を受けてから葬儀の事やお墓のことなど全て自分で手配していたということで話題になりました。
金子さんは、葬儀の場所や遺影の写真を自身で決めていました。また葬儀の司会進行を友人のDJに依頼し、葬儀で流す映像を用意しておくなど、葬儀の進行などについても手配していたそうです。
自分で会葬者への手紙を作成し、会葬者に出す料理や返礼品の内容も細かく決定していたのです。
まさに葬儀の自己プロデュースですね。
ここまでしないにしても「遺影の写真はこれがいい。」「これを棺に入れてほしい。」「この斎場が綺麗だからここでやってほしい。」など本人の希望を葬儀に反映できるのは、生前予約ならではのことです。
生前予約デメリット・注意すること
メリットの多い生前予約ですが、デメリットや注意すべき点もあります。
家族に知らせておく必要がある
本人が生前予約をしていた場合、本人が亡くなった時に、家族が知らなければ予約していた葬儀社に連絡をすることができません。
家族が知らずに他の葬儀社に依頼してしまったら、せっかくの本人の希望が反映されなくなってしまいます。
また前払金などを支払っていた場合にはそれも無駄に。
生前予約をしたら、どんな内容の葬儀でこのような希望を葬儀社に話している、ということを家族に伝えておきましょう。
家族との話し合いが必要
本人が小規模の葬儀を希望していたとしても、家族は大規模に盛大に送り出したいと考えている場合もあります。
家族の理解を得られないまま一人で予約すると後にトラブルになる可能性も。
規模が違うと費用が大きくかわってくるので、本人が生前予約をする場合も家族と相談して決めることが大切です。
予約していた葬儀社が倒産することも
生前予約をしていた会社が倒産してしまうというのも、あり得る話です。
予約だけをしていたならば諦めて他の葬儀社を探すということになるでしょう。
もし前払金を払っていたら、葬儀社がしっかりとした保障制度を持っていない場合、払ったお金が返ってこない可能性があります。
前払金のシステムがある場合には、万が一倒産したときには保証があるのかなどきちんと確認しておきましょう。
まとめ
以上、葬儀の生前予約の方法やメリット・デメリットを紹介しました。
人が亡くなった後はとても忙しいです。
なにも準備がなかった場合、悲しむ暇もなく葬儀社、そして葬儀の内容などを決定していかなければなりません。
じっくり検討もできずにとりあえず決定し、全て終えてから金額や内容を振り返って後悔する人が多くいます。
事前にそれらのことを決めておくと、焦ることなく納得いく葬儀を行うことができるでしょう。
葬儀の予約「生前予約」は注意するべきことをきちんと注意すれば、本人にとっても家族にとっても納得いくお別れをするためのとてもいい手段です。
家族と話し合いながら検討してみてください。

この記事を書いた人
亀井 洋一 (葬儀の口コミ編集部)
東京都出身。親の葬儀を経験したことで葬儀業界に興味をもち、大学を卒業後葬儀社で勤務。10年の現場経験を経て、退職。
消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「葬儀の口コミ」を運営している。