棺に入れられない副葬品
棺の中に入れるものを副葬品と呼びます。
その中でも基本的に入れてはいけないとされている副葬品は以下のものです。
・燃えないもの(金属、ガラス製品・陶器など)
・燃えにくいもの(厚手の衣類、分厚い布団や書物、水分の多い果物など)
・破裂・爆発するもの、危険物(缶詰、密閉容器、スプレー缶、ボール、釣竿・ラケット・カーボン製品など)
・有毒ガスが出るもの
・生きている人の写真
これだけみると一概に「燃えるもの」であっても入れてはいけないものが多いことが分かるかと思います。
※ペースメーカーについて
ペースメーカーや手術用ボルト・義肢などがある場合は、事前に火葬場に申告しておかなければなりません。特にペースメーカーは取り出すわけにはいかないのでそのまま火葬することになりますが、破裂する可能性があるため、必ず事前に申請をしましょう。
棺に入れられないのはなぜ?
副葬品として入れてはいけないものをご紹介しました。
なぜ入れてはいけないのでしょうか?
基本的には、一緒に燃やして火葬炉や周囲に悪い影響を与えるものは入れられません。
たとえ「燃えるもの」であったとしても、燃え残ったことでその後の火葬炉の稼動に影響を与えるものや、燃やすことで公害につなが
る恐れのあるものがあれば、副葬品として棺に入れることは出来ないのです。
※一般的に火葬の温度は800~1200度ほどであるといわれています。
これだけ高ければ何でも燃えるのかと思うかもしれませんが意外とそうではありません。
棺に入れられない意外なもの
それでは個別具体的に棺に入れられないものを紹介します。
「入れてあげたい」と思いがちですが、意外にも入れられないものもあります。
生きている人の写真
大好きだった人の写真を一緒に入れてあげたい、そう思ってもおかしくないですよね?
しかし生きている人の写真は入れるべきでないとされています。
生きている人間の写真を一緒にいれてしまったら、その人間があの世へ呼ばれてしまうとの迷信があるからです。
副葬品にする写真に、本人以外が写っている場合は写っている人全員の了解がない限り避けましょう。
ただし既に亡くなった人やペットの写真なら、問題なく副葬品として一緒に納めることができますのでご安心ください。
ビニール・ゴム製品など
ビニール、ゴム製品、発泡スチロール、プラスチック製品、といった燃やすと有害なものは棺に入れられません。
・有毒ガスが発生したり公害の原因となる
・骨にへばり付いて、ご遺骨を変色させる
以上の恐れがあるものは、多くの火葬場で禁止されています。
公営が多く、近隣の了解を得て運営している火葬場にとっては、神経質になる部分です。十分に気を付けましょう。
ゴルフクラブや釣り竿、ボール
燃やす際に注意が必要なもの、それはカーボン製品です。
カーボン製品には「ゴルフクラブ」や「釣り竿」、「杖」なども含まれています。
「故人が趣味で使っていたから」と一緒に入れたい気もしますが、カーボン製であれば残念ながら入れることができません。
カーボン製品を燃やすと火葬炉設備が緊急停止し火葬が中断、また同時間帯の他の火葬も停止する重大な事故を起こしてしまうのです。
また、ボールなど密閉されているものは爆発してご遺体や火葬窯の内部を損傷させる可能性があるため、避けることとされています。
どうしても入れたい場合には穴をあけて、空気の逃げ道を作るなどの対処をする必要があります。
本や果物
「故人が読書家だったから本を入れたい」
「故人が大好きだった果物を入れたい」
これも意外ですが、避けなければいけません。
理由は以下の通りです。
・大量の灰が出て、拾骨の障害となる。
・特に円形で水分の多いものは、燃焼の妨げとなり、火葬に時間がかかる。
・燃え残る場合もあり、拾骨時に異臭を発することがある。
どうしても「本」を一緒に入れたいのなら、書物はページを数箇所、内側に折込んでいき、空気が入りやすくするなどの「燃えやすい工夫」を行う必要があります。
また「果物」も、包丁を入れて2つ以上のピースに分けるなど、細かくして水分もできるだけ除きましょう。
めがねや入れ歯
故人が身に付けていた「めがね」や「入れ歯」
旅立つときも一緒に入れてあげたいものですが、実は棺に入れる事ができません。
理由は以下の通りです。
・高温で溶け出し、骨にへばり付いてご遺骨を変色させる
・燃え残り、拾骨の障害となり、収骨の時間が伸びる
とはいえ、故人が身に付けていたものなら一緒に天国へ、と考える方も多いでしょう。
多くの場合には、火葬時に入れるのではなく、収骨をして最後に骨壺の一番上に入れてあげます。
まとめ
故人のゆかりの品で、棺に入れてあげたいものはたっくさんあるでしょう。
しかし意外にも入れられないものが多いのです。
入れてはいけないものを入れることで、火葬炉を故障させたり、予定の時間を延ばしてしまうと、火葬場・そして他の葬家に大きな迷惑をかけることになってしまいます。
そんなことにならないよう、ルールを守る必要があります。
「これは入れても大丈夫かな?」と迷ったら、葬儀社に聞いてみましょう。
葬儀社は経験上ほとんどの判断ができます。
前例がない場合にも、火葬場に葬儀社が問合わせてくれるので安心してください。

この記事を書いた人
亀井 洋一 (葬儀の口コミ編集部)
東京都出身。親の葬儀を経験したことで葬儀業界に興味をもち、大学を卒業後葬儀社で勤務。10年の現場経験を経て、退職。
消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「葬儀の口コミ」を運営している。