葬儀社を始めるのに許可はいらない?
葬儀社を行うために、特別な許可や届け出は必要ありません。
資本金があり道具が用意出来れば、開業届を出して誰でも始めようと思えば始めることはできます。
※故人を搬送する寝台車を運用するためには、許可が必要です。
葬儀社が許認可制・届け出制でないことの弊害
葬儀社の届け出制が検討し始められた背景には、葬儀社を始めるにあたって許認可や特別な届け出が必要ないことによって、様々な弊害が生じたことがあります。
どのような弊害があったのでしょうか。
災害時の連絡網がない
届け出制でないことから、どこにどのくらいの規模の葬儀社が何社あるのか、ということを把握することが困難な状況になっています。
そのため、地震などの災害が起きて一度にたくさんの方が亡くなったり、火葬場が使えない状況になった場合などに、葬祭業者に網羅的に連絡を取ることができません。
また反対に現場の状況を政府などに伝える際に、一元的に情報を集められる体制になっておらず現場の声がしかるべきところに届かない可能性もあります。
昨今の新型コロナウイルス感染症蔓延の際にも、葬儀社はどのような対応をしたらいいのかなどの情報が、すべての葬儀社に円滑に届く仕組みがなかったため、混乱に陥りました。
また自治体ごとのことなで亡くなった方の状況や、葬儀社がどのような対応をしているかなどの現場の状況を円滑に然るべき場所に情報を集める仕組みもなく、ある程度個別の葬儀社がそれぞれの判断で動くことが求められることに。
遺体の処置や搬送、火葬は衛生に大きく関わる問題です。
それを担う葬儀社と国で、一元的に情報の交換をできる仕組みが構築されていないことは、災害時の混乱を考えると大きな課題と言えるでしょう。
消費者トラブルの増加
許認可制ではないため、葬儀社を行うための一定の条件などもありません。
そのため葬儀社ごとにサービスの品質や価格に大きなばらつきがあるのが事実です。
また高齢化社会を迎える中で、他業種からも葬儀業への参入が相次いでいます。
中でも低価格をうたうネット系の葬儀サービスが台頭し、HP上で実際とは異なる「追加費用なし」などの不当表示などが問題となりました。
そうしたことから費用やサービス内容による消費者トラブルが増加。
葬儀社をやることに一定の条件などが設けられていないことから、サービスの低下などの事態が起きてしまい、消費者の不利益に繋がりかねない状況になっています。
葬儀社の届け出制に関する動き
葬儀社を届け出制にする流れは、全国の葬儀社の組合である全日本葬祭業協同組合連合会からの提言から始まりました。
全日本葬祭業協同組合連合会が数年前から厚労省などの様々な機関に、葬儀社の届け出制の必要を要請してきており、2020年の1月に経済産業省、厚労省、消費者庁の3庁と会合を行い、ヒアリングを受けました。
そして2020年12月の参議院予算委員会において、公明党の山本香苗参議が葬儀社の届け出制などの法規制についての政府の対応を尋ねました。
国会において、葬儀社の届け出制に関して言及されたのはこれが初めてのことです。
それに対して厚労省の佐藤英道副大臣が「国内外の実態調査に取り組んでいく」と明言をしました。
国会の審議での言及されたことは届け出制導入への大きな一歩となったと言えます。
安心できる葬儀社を選ぶには?
葬儀社を行うにあたって許認可や届け出が必要ないため、葬儀社のサービスの質や費用には大きなばらつきがあります。
そんななかでどのように安心できる葬儀社を選べばいいのでしょうか?
一番大切なのは「直接話を聞くこと」です。
葬儀費用やサービスの質内容はある程度の相場はあるものの、家族の状況や要望によって大きく変わってきます。
そのため電話でも会ってでもいいので、2、3社ほどは実際に話をしてみることをオススメします。
そして実際の葬儀の内容や費用はもちろんのこと、電話に出た人の応対や話を聞いてくれるかなど「ここに大切な人の最後を任せても大丈夫そう」と思えるかどうかも重要です。
まずは電話で問合せをしてみましょう。
その際には、葬儀を行いたい地域に近い葬儀社の中から口コミや評判を元にピックアップしてみてください。
「葬儀の口コミ」では、地域別に口コミや評判のいい葬儀社を紹介しています。
該当の地域から探してみてください。

この記事を書いた人
亀井 洋一 (葬儀の口コミ編集部)
東京都出身。親の葬儀を経験したことで葬儀業界に興味をもち、大学を卒業後葬儀社で勤務。10年の現場経験を経て、退職。
消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「葬儀の口コミ」を運営している。