上用饅頭とは？葬式で饅頭が配られる訳や費用、選び方をご紹介

上用饅頭は基本的に上新粉や米粉などで作った生地でアンコを包んだものです。
日本が貧しかった時代には、甘いものは庶民の間で簡単には手に入れられず、あくまでも目上の人に献上するものでした。

上用饅頭は葬儀で参列者に返礼品として配られることが多く、その場合「葬式饅頭」と呼ばれます。
葬儀で上用饅頭を渡すのには、故人が現金を手放して高価な饅頭を参列者に分け与える「財施」を行うことで、故人が成仏しやすくなるという考え方が由来となっています。

上用饅頭と似たものに薯蕷饅頭があります。「薯蕷」は山芋を意味し、薯蕷饅頭は大和芋やつくね芋などの粘り気のある芋を生地に加えることでふっくらと仕上がります。
上用饅頭と同様、冠婚葬祭全般で使われ、結婚式、入学祝や七五三祝などで贈られることもあります。

葬式饅頭の歴史は古く、三国志時代の中国にまでさかのぼります。3世紀に活躍した武将、諸葛孔明（しょかつこうめい）が、軍勢とともに移動している際、川の氾濫により進行を阻まれました。当時の地域では、「49人の首を神に捧げれば川は鎮まる」とされていましたが、孔明は人の首を切る代わりに小麦粉で人の頭に似せた饅頭を49個作り、神に供えました。その結果、川の氾濫が収まったと伝えられています。

この伝承により、饅頭は「神に捧げる神聖なもの」として崇められるようになり、日本でも宋から伝来した饅頭が儀式の際に用いられるようになりました。日本では、奈良時代に宋から来た僧侶の林浄因（りんじょういん）が奈良で饅頭を作り、当時の饅頭は肉餡でしたが、仏教の影響で小豆餡が主流となりました。これが現在の葬式饅頭の原型となっていると言われています。

最近では、返礼品として他の品のバリエーションが充実していることもあり、上用饅頭が配られることが減っています。
地方の一部でその風習が残っていることが多いです。

関東では春日饅頭や緑白（青白）饅頭が多いです。
春日饅頭は厚い皮の小判形で、皮の上面にヒノキの葉の模様の焼き印が施されています。
緑白（青白）饅頭は抹茶入りの緑色の饅頭と白い饅頭を組み合わせたものです。

関西地方では、黄白饅頭が一般的です。
山芋を練りこんだ生地が特徴的です。

北海道では、どら焼きのような生地の饅頭が葬儀で用いられます。

山陰地方の一部では菓子パンを配ります。菓子パンに熨斗を付けて配る独自の文化があります。

静岡県では、平パンと呼ばれる平たい形状の饅頭が葬儀で用いられます。

沖縄では紅白饅頭が配られることがあります。弔事に紅白と驚かれる方も多いでしょう。
沖縄では長寿で亡くなった場合に、天命を全うしたことに対してお祝いの意味を込めて紅白饅頭が配られるようです。

葬儀の返礼品は2,000～5,000円ほどです。
地域や家族の考え方にもよるため、それぞれに合わせましょう。

葬儀や法要の当日に直接手渡すことが多いですが、地域や参列者の状況に応じて後日郵送する場合もあります。

返礼品には、消耗品や日持ちのする食品などが一般的です。よく選ばれる品物としては、茶葉、のり、コーヒー、調味料などが挙げられます。
後に残らず、多くの方が使えるものとしてよく選ばれています。
また持ち帰るため、軽くてかさばらないものがオススメです。

返礼品は香典の有無に関係なく、葬儀に来て下さった場合にお礼としてお渡しするものです。
香典返しとは、その名の通り香典をいただいたことへのお返しのことを指します。
香典返しの費用相場はいただいた香典の3分の１から2分の1程度です。四十九日後に送るのが一般的ですが、最近では当日返しという形でその日にお渡しすることもあります。