緊急事態宣言で「葬儀は禁止?」
前回の緊急事態宣言前に、東京都に問合せたところ「現状では、緊急事態宣言が出ても、葬儀は“不要・不急の集まり”とは言えないため、遺族の意向を尊重したうえで、感染拡大防止対策を万全にしたうえで行っていただくしかない」という回答がありました。
今回でも同じような対応になることが予想されます。
日本の法律で葬儀を禁ずることはできないからです。
昨年イタリア、スペインでは葬儀も禁止しましたが、日本の現行法の基では全ての葬儀を禁止することは難しいようです。
あくまでも自粛の要請にとどまり、法的な拘束力はないものになる可能性が高いです。
そのため、各葬儀社も遺族の意向に沿って判断し、臨機応変に対応することになります。
前回の緊急事態宣言下で葬儀はどうなった?
前回の緊急事態宣言発令時には、特に国や自治体から葬儀社、斎場(葬儀場)に具体的な指示はなく、各葬儀社、各斎場(葬儀場)ごとに独自に人数制限や食事の制限や要請が行われました。
主な制限や要請は
・一日葬の推奨
・食事の禁止
・参列人数を10名以下に
・マスク着用/アルコール消毒/換気の徹底
・椅子を離して配置
というものでした。
今回ももし緊急事態宣言が発令されたら、同じような制限・要請があると予想されます。
特に今回は、菅首相が会見で飲食に対する対策について強調していたことから、食事に関しての制限は厳しくなるかもしれません。
葬儀社はどんな対応をしている?
東京都新宿区の葬儀社「東京葬儀」の木南さんに、葬儀社がどのような対応をしているのか聞いてみました。
・葬儀社がマスクを用意、参列者にマスク着用を呼びかける(マスクが不足した時期は配布が難しかったようですが...)
・アルコール消毒液を設置する
・受付・焼香後の食事をなくす
・食事をお弁当形式にして持って帰ってもらう
・食事を振る舞う場合は、向き合わずに一定方向を向いて食べる(学校の教室のような形)
・そもそも参列者を呼ばない
・着席の際、席の間隔を広くとる
・オンラインのビデオ通話を利用する
などの対応をとる葬儀社が多いとのこと。
「参列者を招くも、招かないもやはり“遺族の意向”を一番に尊重して判断したうえで、コロナウイルスに関する情報を日々収集し、万全の対策をとるのが葬儀社の役割」と仰っていました。
前回の緊急事態宣言下では、コロナ対策のための物資の不足や、情報の錯そうなどにより、十分な対策がとりにくいことから、葬儀を行わない「火葬式」が急増しました。
思うような十分なお別れができずに、歯がゆい思いをした遺族もいらしたという話も多く聞かれました。
(【参考】緊急事態宣言の影響で10万円台の葬儀が急増してる理由とは?)
しかし新型コロナウイルス感染症が流行し始めて、1年が経とうとしています。
その中で、物資や情報がでまわるようになり、葬儀社も様々な対策方法をとれるようになりました。そして様々なケースの葬儀を経験してきました。
そのため対策をきちんと取ったうえで一日葬という形で十分なお別れをすることができるようになっています。
「火葬だけにするしかないかな?」と決めつけずに、とにかく希望を伝え、相談しながら進めていきましょう。

この記事を書いた人
亀井 洋一 (葬儀の口コミ編集部)
東京都出身。親の葬儀を経験したことで葬儀業界に興味をもち、大学を卒業後葬儀社で勤務。10年の現場経験を経て、退職。
消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「葬儀の口コミ」を運営している。