コロナ禍での葬儀みんなどうしている?
3年間続いたコロナ禍の中で、葬儀のやり方もだんだんと形作られてきました。
結論から言うと、コロナ禍でも葬儀を行うことはできます。
しかし葬儀は複数の人が集まる機会でもあり、人から人への感染も考えられます。
現状コロナによる行政から葬儀社への義務や指示はありません。葬儀社や管理組合が独自の基準を作って対応しています。
コロナの感染リスクを減らすために、主催者側も参列者側も適切な対策や注意を払う必要があります。
コロナ禍での葬儀は家族葬がオススメ
コロナ禍の葬儀で最もオススメなのは、家族葬です。
家族葬とは、親族や親しい友人の限られた人数のみで行う葬儀の形です。
大体5~30人程度の人数が参列し、こじんまりとしつつもあたたかい葬儀になります。
これまでの一般葬と比べて少ない人数での小規模な葬儀のため、感染のリスク軽減や費用の削減ができます。
また参列者にとっても感染のリスクから参列を辞退しやすい側面もあります。
これらのことから、最もオススメできる葬儀の形です。
コロナ禍での葬儀の流れ
コロナ禍での葬儀は以下のような流れになります。
行程 | 内容 |
---|---|
故人の逝去 | 親族や友人への訃報連絡 葬儀社の決定 清拭 |
ご遺体のお迎え | 自宅または葬儀社の安置施設にご遺体を安置する |
葬儀社と打ち合わせ | 葬儀の日程・内容・会場等を決める 参列者に連絡 菩提寺に連絡 |
納棺 | ご遺体を棺に納める |
通夜 | 夕方6時〜7時ころから行われる1日目の葬儀 |
葬儀・火葬 | 故人との最後のお別れをする葬儀、火葬 |
帰宅 | 精進落し(会食)・喪主の挨拶の後解散、帰宅 |
コロナ禍の葬儀で気を付けること
コロナ禍の葬儀が長く続くようになって、葬儀のマナーも変わってきました。
大切なことは自身がコロナに感染しないこと・他人にうつさないことです。
ここではコロナ禍の葬儀において遺族・参列者が気を付けるポイントを紹介します。
マスク着用
葬儀は複数人が一つの部屋に集まって時間を過ごします。
換気を行っていたとしても、感染防止のためにマスクの着用はきちんとしましょう。
マスクの色には大きな決まりはありません。柄物よりは無地の方が周囲から目立つことなく無難でしょう。
アルコール消毒をしっかりとする
入退室のときやお手洗いに行ったときなど、一定おきにアルコール消毒をきちんとしましょう。
複数人が出入りする葬儀の場では除菌をして触れたものからウイルスを入れないようにする必要があります。
アルコール除菌はアルコールと菌が皮膚の上で30秒以上触れている必要があるそうです。しっかりとアルコールが皮膚の上で揮発するまで待ちましょう。
長時間の会話や会食は控える
長時間の会話や会食は控えましょう。
葬儀中は1部屋にずっと集まるのではなく、換気をしっかりとし、適度に控室や屋外なども活用しましょう。
また会食中は食べていないときはマスクを着用しましょう。
感染症対策の観点から会食ではなく、お弁当などにして持って帰っていただくのもコロナ禍の葬儀では主流になりつつあります。
故人に触れることは避ける
故人との最期のお別れの場所である葬儀は、故人の顔や手に触れてお別れをしたいですよね。
しかしコロナ禍の葬儀では故人に触れるのは控えましょう。代わりに故人のそばにお花を入れるなどして故人の死を悼むことがいいでしょう。
体調がすぐれないときの参列は控える
参列する日の前日や当日朝に体調がすぐれないとき、無理して参列するのは控えましょう。
特に、のどが痛い、倦怠感、37.5度以上の発熱などの症状があるときは遺族にその旨を伝え、葬儀は欠席しましょう。
菩提寺に連絡する
喪主や遺族は葬儀をする際に必ず菩提寺に連絡しましょう。
菩提寺の意向にそぐわない葬儀をすると、お墓にいれてもらえないことや檀家としてのトラブルになったりします。
コロナ禍での葬儀は、菩提寺にこじんまりとした葬儀にしたい旨を伝え、許可を取ってから葬儀の話を進めましょう。
参列者はどこまで呼ぶ?
家族葬を執り行うとき、問題になるのが親族や親しい友人をどこまで呼ぶのかということです。
ここからはトラブルを避けつつ、家族葬の参列者を決めるにはどうしたらいいのか考えていきます。
血縁が近い人で区切る
最も区切りやすいのは、故人から近い親戚関係にすることです。
二~三親等以内と区切ることで、周囲からも分かりやすく区切りをつけることができます。
地域が近い方を呼ぶ
もう1つ参列者を区切りやすい方法としては、「住んでいる地域」が挙げられます。
関東から関西への移動など地方をまたぐような移動をする場合は、感染リスクや移動の負担がかかります。
故人の亡くなった場所から近い人を呼ぶことで、遠方の人に配慮した区分にできます。
参列を辞退する場合はどうしたらいい?
コロナ禍で参列を辞退したいと思ったり、参列者の人数を区切りたいと思っても、なかなか喪主や参列者本人には言い出しづらいですよね。
ここからは遺族側・参列者側の両方の立場から参列の断り方について紹介します。
喪主・遺族から参列を遠慮してもらう場合
遺族から参列者に対して、参列を辞退していただく場合の伝え方には「葬儀前に訃報を伝えずに、葬儀後に連絡する」または「葬儀前に訃報を伝える際に、参列辞退の旨を伝える」という方法があります。
なるべく訃報と同じタイミングで参列を遠慮していただきたい旨を伝えましょう。
訃報をお伝えするときは電話がオススメです。言葉のニュアンスなどを丁寧に伝えることができます。
伝え方は、「コロナ禍の状況のため、近しい家族のみで葬儀を行うことにしました。」と言えば大丈夫です。
葬儀後には、葬儀が滞りなく終わった旨をお礼状としてお送りしましょう。
参列者から参列辞退を申し出る場合
参列を遠慮したい場合には、電話やメールでその旨を喪主に伝えましょう。
伝え方としては「○○さんを直接お見送りしたかったのですが、このような状況のため、お伺いできず申し訳ございません。」という簡潔なもので問題ありません。
その後、葬儀当日に合わせて弔電を打つ、供花を送る、香典を送るなど、遠方からでも哀悼の意を示すことが望ましいです。
コロナ禍での家族葬以外の葬儀
コロナ禍の葬儀では家族葬以外にどんなものがあるでしょうか。
ここからは、どのような葬儀の種類があるのか紹介します。

火葬式
「火葬式(直葬)」は、通夜や告別式などの儀式的なことを行わない時間的に最も短縮された葬儀の形です。
人と触れ合う機会を減らせたり経済的負担も減らせたりするため、緊急事態宣言下で急増しました。
火葬前にお坊さんからお経をあげてもらったり、お別れの時間を作ることもできますが、20分程度のわずかな時間であることが多いです。
自宅葬
外出を最小限に抑えて行える葬儀ということで、「自宅葬」も増えています。
自宅葬は住み慣れた自宅の一室で読経や焼香を行った後、火葬場に直接移動をするという流れになります。
式場使用料や安置施設使用料がかからず経済的にも負担が少なくて済みます。
一軒家であり、家族・親族のみの参列であれば、大体の場合自宅葬ができます。
【参考】自宅葬に対応する葬儀社
東京葬儀:緊急事態宣言以降、数多くの自宅葬をお手伝いしてきました。
セレモニー結:「家庭葬プラン」を用意、2畳ほどのスペースがあれば、祭壇を飾ることができます。
かながわセレモニーサポート:6畳一間でも十分なお別れができるそうです。
一日葬
家族葬とともに「一日葬」という葬儀の形も増えています。
一日葬は、通夜を行わずに告別式を執り行う葬儀の形です。
一日葬の参列者の範囲は家族のみの場合・同僚や友人まで呼ぶ場合のどちらも可能です。
お別れの時間を取りつつも、葬儀を短時間で行えることから、コロナ禍では急増しています。
コロナ禍の葬儀の現状
コロナ禍の葬儀は、厚生労働省と経済産業省が2020年に公開したガイドラインを参考に、各葬儀社が独自のルールを定めて行っていることがほとんどです。しかしガイドラインは最もコロナの扱いが慎重だった2020年に公開されて以降、現在まで改定されていません。
特に、コロナ患者の方の葬儀はいまだに制限が厳しい状況です。
複数の医師による「遺体からの感染リスクはわずかである」との報告がありながら、ガイドライン内では遺体を非透過性の納体袋に包んで密閉することを推奨しています。
そのため現在でも、故人が亡くなってからの対面や火葬場での立ち合いを禁止している場合が多く、遺族の方も最期のお別れがしっかりとできない環境が続いています。
コロナ患者の方と対面でお別れができる葬儀社
コロナが要因で亡くなってしまった方と対面して葬儀を行うことはできないのでしょうか。
ここではコロナ患者の方でも対面でお別れができる取り組みをしている葬儀社を紹介します。
コロナ患者の方の葬儀で困ったことがあれば、相談してみるといいでしょう。
①日野市葬儀相談センター(株式会社 葬援)
②東京葬儀
③かながわセレモニーサポート
葬儀社とよく相談を
ここでは首都圏で代表的なコロナ禍での葬儀について紹介しました。
地域によって感染拡大状況も異なりますし、それぞれの故人や家族の事情も異なります。
一番は葬儀社と相談をしながら、よりベストに近いお別れの形を実現することです。
コロナが流行し出してから、約3年が経とうとしているなかで、葬儀社も様々なケースの葬儀を経験しています。
状況や希望を伝えつつ、他の方がどのように行ってきたかを聞いてアドバイスをもらうのが一番です。


この記事を書いた人
亀井 洋一 (葬儀の口コミ編集部)
東京都出身。親の葬儀を経験したことで葬儀業界に興味をもち、大学を卒業後葬儀社で勤務。10年の現場経験を経て、退職。
消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「葬儀の口コミ」を運営している。