故人から感染する可能性は?
そもそも故人を経由して新型コロナウイルス感染症にかかる危険性はあるのでしょうか?
新型コロナウイルスの感染経路は主に、飛沫感染と接触感染です。
亡くなっている方は呼吸や会話をしていないため、飛沫感染の心配はありません。
つまり接触感染対策をしっかりと行えば、故人から感染する危険性は極めて低いと言えます。
※「飛沫感染」:くしゃみや咳などによって、つばと一緒にウイルスが放出され、他者がそれを吸い込んで感染すること
※「接触感染」:感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスが付きます。そこを他の人が触り、手で口や鼻を触ることにより粘膜から感染すること
24時間以内に火葬しなければいけない?
通常の場合、死後24時間以内の火葬が法律で禁止されていますが、指定の感染症で死亡した場合は24時間以内でも火葬ができます。
「できる」のであって「しなければならない」という義務ではありません。そのため焦る必要はありませんし、首都圏の火葬場の混雑状況では24時間以内の火葬は難しいです。
遺体の処置は誰がどうする?
厚生労働省が発表しているガイドライン上では、新型コロナウイルス感染症で亡くなった場合、遺体を非透過性の納体袋に納め、密閉し、納体袋が破損しないよう厳重に注意することとされています。
病院で亡くなった場合
基本的には医療従事者の方が、納体袋に納めて納体袋の表面を消毒します。しかし医療従事者の方も忙しかったり、病院の規模によって処置が不可能な場合には、搬送業者(葬儀社など)が行うこともあります。
介護施設や自宅の場合
介護施設や自宅で亡くなった場合には、上記の処置をできる人がいないため、搬送業者(葬儀社など)が行います。
警察に安置されている場合
この場合も警察が同じように、納体袋に納めて納体袋の表面を消毒しますが、場合によっては搬送業者(葬儀社など)が行います。
いずれの場合も、ガイドライン上では納体袋に納めて表面を消毒すればOKです。
しかし東京都内では火葬場からの指示によって、更なる処置が必要とされています。
納体袋に納めて表面を消毒した後に、棺に納めて目張りをし、さらにその棺を消毒しないと火葬場に連れていくことができません。
面会はできる?
ガイドライン上では、非透過性の納体袋に納められ、密閉されている状態であれば面会は可能とされています。
しかし納体袋を開けることはできないので、故人のお顔や手に触れることはできません。
実際には、以下の3つの条件がそろっていれば病院で故人に面会することができます。
1.病院が患者さん以外の人の立ち入りを許可している
感染拡大防止対策のため、医療従事者、従業員、患者さん以外の立ち入りを禁止している場合があります。
病院から立ち入りの許可がでれば、病院内で面会ができます。
2.遺族が濃厚接触者でないこと
遺族が濃厚接触者の場合には、自宅やホテル、病院などから身動きが取れないので面会もできません。
3.透明の納体袋に納められていること
顔が見えるような透明の納体袋でないと、顔は見られません。最近都内では7割以上が顔の見える納体袋になっています。
もし病院内で面会ができなかった場合、葬儀社によっては、火葬場の駐車場などで棺の小窓を開けて顔を見せてくれる場合もあります。葬儀社にお問合せください。
葬儀はできる?
繰り返しになりますが、ガイドライン上では納体袋に適切に納まっていれば安全とされ、通常通り葬儀などをしてもいいとされています。
しかし都内ではすべての火葬場が、安置室や式場の使用を制限しているため、葬儀を行うことはできず、火葬のみを行うことになります。
火葬後に、お骨になって骨壺に収まった状態で葬儀を行うことは可能です。
火葬をしてその後で葬儀社の自社式場などに移動して葬儀を行います。
火葬場で立会うことはできる?
ガイドライン上では、納体袋に適切に納められていれば、斎場や火葬場で面会・立会いが可能とされています。
しかし現状都内の火葬場では、遺族の立ち入りを制限しているところがほとんどです。
その場合には、面会や立会いができません。
神奈川県の一部火葬場では、状況によってお骨上げのみ2~4名程度まで行うことができるようです。
近隣の葬儀社または火葬場に確認をしてみましょう。
※遺族が濃厚接触者だった場合
遺族が濃厚接触者の場合は、自宅やホテルなどで待機をしなければならないため、電話やオンラインなどで葬儀社とやり取りをします。
そして残念ながら故人との面会などは叶いません。
ガイドラインと現場の乖離
繰り返しになりますが、厚生労働省が出しているガイドライン上では、適切に納体袋に納められていれば、通常と同じように、遺族と面会することも葬儀を行うこともできるとされています。
しかし実際には、火葬場の制限などにより葬儀を行って遺族の立会のものとで火葬を行うのが難しい状況です。
首都圏火葬場の対応状況まとめ
首都圏の主要な火葬場の新型コロナウイルス感染症で亡くなった方への対応状況をまとめておきます。(2021年3月6日現在)
東京都
・戸田葬祭場(板橋区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。安置室や式場は利用できません。遺族の立会はできません。
・落合斎場(新宿区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。安置室や式場は利用できません。遺族の立会はできません。
・代々幡斎場(渋谷区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬は受け入れていません。
・町屋斎場(荒川区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬は受け入れていません。
・四ツ木斎場(葛飾区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬は受け入れていません。
・桐ケ谷斎場(品川区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬は受け入れていません。
・堀ノ内斎場(杉並区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬は受け入れていません。
・瑞江葬儀所(江戸川区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。遺族の立会はできません。
・臨海斎場(大田区):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。遺族の立会はできません。遺族の立会いについては適宜対応していますが、待合室や面会室、納棺室などの施設を利用することはできません。また場内の移動は火葬棟の1階部分のみと制限されています。
・南多摩斎場(町田市):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方が八王子市・町田市・多摩市・稲城市・日野市の住民の場合のみ火葬を受け入れています。遺族の立会はできません。
神奈川県
・横浜市北部斎場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬は受け入れていません。
・横浜市戸塚斎場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬は受け入れていません。
・横浜市南部斎場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。火葬前の立会はできませんが、状況や条件によって2~5名程度までお骨上げのみの立会が可能な場合にがあります。
詳細は横浜市北部斎場(045-785-9411)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
・横浜市久保山斎場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。火葬前の立会はできませんが、状況や条件によって2~5名程度までお骨上げのみの立会が可能な場合にがあります。詳細は横浜市久保山斎場(045-231-3060)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
・かわさき市南部斎苑:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。詳細はかわさき南部斎苑(044-277-8146)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
・かわさき市北部斎苑:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。詳細はかわさき北部斎苑(044-822-3171)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
・相模原市営火葬場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。詳細は相模原市営火葬場(042-744-3330)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
埼玉県
・谷塚斎場(草加市):新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。安置室や式場は利用できません。遺族の立会はできません。
・所沢市斎場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。詳細は所沢市斎場(04‐2993‐9931)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
・越谷市斎場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。詳細は越谷市斎場(048-960-6800)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
・浦和斎場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。詳細は浦和斎場(048-855-6246)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
・大宮聖苑:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。詳細は大宮聖苑(048-682-2800)、または近隣の葬儀社にお問合せください。
・川越市斎場:新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の火葬を受け入れています。詳細は川越市斎場(0 049-226-0090)、または近隣の葬儀社にお問合せください。