余命宣告されたら自分や家族はどうしたらいい？接し方や行うべき準備を解説

余命宣告とは医師が患者やその家族に、あとどれくらい生きられるかを伝えるものです。
ドラマで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
余命は患者の病状や過去の統計データに基づいて計算されます。
余命宣告の目的は、患者や家族が治療の選択肢を検討したり、残りの人生をよりよく生きられるようにすることです。

余命宣告はあくまで目安であり、絶対的な指標ではありません。
余命は統計データや医師の経験に基づくものであり、治療の進行状況や患者自身の体力、気力などで結果は大きく変わることがあります。
過去には余命よりもはるかに長生きした事例も多いです。
あくまでも目安、ということは念頭に置いておきましょう。

余命宣告は患者本人に直接医師から伝えられることもあれば、家族のみに伝えたられこともあります。
どちらに伝えるかは患者の状況などから意思が判断します。基本的には患者本人に伝えるのが一般的ですが、伝えたことによる精神的負担が大きい、それにより病を進行させてしまう恐れがある場合などには家族のみに伝える場合があります。

余命宣告を受けた際に、その信ぴょう性を確かめるために「セカンドオピニオン」を検討する方もいます。セカンドオピニオンを受けることで、現在の診断や治療計画が適切か、他に選択肢がないかを確認できます。

セカンドオピニオンを受ける際には、主治医に相談し、紹介状や検査結果のデータ（レントゲンフィルム、CD-ROMなど）を準備してもらう必要があります。

ただしセカンドオピニオンの受診には公的医療保険が適用されず、全額自己負担となる点には注意しましょう。セカンドオピニオンは治療行為ではなく相談とみなされているためです。

まずは主治医と話し合い、今後の治療方針を決めることが大切です。

現在の現在の病状や治療の選択肢について、主治医から詳細な説明を受けましょう。
積極的な治療を続けるのか、緩和ケアに移行していくのかは大きな決断となります。治療内容によるメリットデメリットをしっかり聞いて自分の希望にあった選択をしましょう。

主治医に自分の考えや希望を正直に伝えることも重要です。治療方針について意見が合わない場合や、より詳細な意見を求めたい場合には、セカンドオピニオンを検討しましょう。

家族に状況を共有しましょう。
家族は最も身近でサポートしてくれる存在になります。家族が病状や治療方針、患者の希望を理解してくれていれば、サポートもスムーズになるでしょう。

しかしどうしても家族に心配をかけたくない、最後まで隠し通したいという場合には、その意志を貫く選択をしてもいいでしょう。

身近な家族以外の人に伝えるかどうかを決めます。
無理に伝える必要はありません。伝えることで理解を得てサポートしてもいやすくなる、感謝を伝えやすくなる半面、相手に心配をかけたくないという気持ちもあるでしょう。
誰に、どのタイミングで伝えるかを決めておきます。

決めたら、家族にも共有しておくと自分の意図しない形で伝わってしまうことを防ぐことができるでしょう。

残りの人生でやりたいことをリスト化しましょう。
行ってみたい場所、会いたい人、やりたかったことなど具体的に書き出してみましょう。
まずは大小問わず、自由に書き出します。

次に実現可能なものを選ぶ、優先順位を付けます。もし今の自分の病状での実現可能性が分からない場合には主治医に聞いてみましょう。

家族にも共有しておくと叶えるためのサポートを受けられるかもしれません。

生命保険の内容を確認しておきましょう。「リビングニーズ特約」が付帯されている場合、余命6か月以内と診断されたときに、死亡保険金の一部または全額を生前に受け取ることができます。
この特約が適用されれば、治療費や生活費、やりたいことリストの実現など、自由に資金を活用できます。

また保険会社や担当の保険代理店に連絡し、具体的な手続きや必要書類について確認して家族に伝えておくと安心です。

亡くなった後の相続に供えて自分の財産を整理しておきましょう。
まず自分の財産をリストアップすることから始めます。

銀行口座、不動産、保険、投資信託など、すべての資産を網羅します。また借入金やクレジットカードの未払い分といった負債もリストに含めましょう。

遺言書の作成も検討しましょう。
遺言書には、自分の財産がどのように分配されるべきかを具体的に記載します。遺言書は公正証書遺言として公証役場で作成すると、法的なトラブルを防ぐことができます。

自分の葬儀のことを考えるのは気が乗らないかもしれませんが、備えておくことで家族の負担を減らすことができます。

特に万が一の際に連絡してほしい知人のリストなどを共有しておくことは大切です。
またもし事前に互助会に入っていたり、葬儀社の会員になっている場合も家族が知らないと意味がなくなってしまうので伝えておきましょう。
しかし無理に行う必要はありません。

エンディングノートは、自分の最期や死後に関する意思や希望を家族に伝えるためのものです。
葬儀、お墓に関する希望や、既に決まっていること、財産・相続に関する情報、デジタル資産に関する情報等を記載しておきましょう。
エンディングノートは自作でも、市販のものでも構いません。ウェブ上からテンプレートをダウンロードすることもできます。

ただしエンディングノートには遺言書のような法的拘束力がないことには注意しましょう。

大切な人に感謝の気持ちを伝える時間を作りましょう。
感謝を伝える方法はさまざまです。直接伝えるのが難しい場合は、手紙を書いたり、写真やメモリーアルバムを作ったりするのも良い手段です。また時間を共有することだけでも感謝を表現することにも繋がります。

感謝の気持ちを伝えることで、残された時間をより豊かで温かいものにすることができます。

医師が本人ではなく家族だけに余命宣告をする場合もあります。
その場合には、本人にその事実を伝えるかどうかを決めましょう。

患者本人が知ることで、余生を楽しもうとする場合もあれば、精神的な負担が増えて気力がそがれてしまう可能性もあります。
本人の性格、病状、精神状態などを考慮して慎重に判断しましょう。

伝えるにしても伝えないにしても、寄り添い、支える姿勢を見せましょう。
また伝えないと決めた場合には、本人に分からないようにする必要があります。もし別の経路などでばれてしまった場合「家族から嘘をつかれていた」と余計に精神が落ち込んでしまう恐れがあります。

余命宣告を受けた本人にとって、家族の支えは心の安定に繋がります。
本人の言葉や感情を受け止め、自身のサポートする姿勢を見せましょう。
日常生活のサポートや、やりたいことリストの実現の手助けをすることで、本人の支えになります。
医療スタッフと連携しながら、身体のケアをすることも大切です。
また本人が孤独感を感じない湯王、日常的なコミュニケーションを大切にしましょう。

家族として「少しでも長く生きてほしい」または「これ以上苦しまないでほしい」と様々な希望があるかもしれません。しかし一番に尊重すべきは本人の希望です。
家族の意見を感情的に押し付けずに、まずは本人の意見を聞きましょう。

そして本人の希望に合わせて医療チームと連携して、具体的な計画を立てます。
在宅医療を希望するならば、その体制を整えたり、延命治療を望まない場合には緩和ケアを検討するなどです。
医師との相談の結果、本人の希望がどうしても叶えられないこともあるでしょう。その場合には穏やかに伝え、本人の意思を一部でも叶えられる代替案を提案しましょう。

余命宣告を受けた本人を支えるためには、病気や病状について正しく理解することが重要です。病気の進行具合や治療の選択肢を把握することで、家族として適切なサポートができるようになります。本人や医療チームとのコミュニケーションを円滑にするためにも、病気に関する知識を深めることが求められます。

まずは主治医や医療スタッフに病状や治療の選択肢について説明を求めましょう。
また病気に関する資料やウェブサイトを利用して情報収集をするのも選択肢の一つです。ただしインターネット上には不確かな情報も多いため信頼性の高い医療機関や公的機関の情報を参考にしましょう。

残された寿命の中で本人に感謝の気持ちを伝える時間を作りましょう。
本人も安心するだけでなく、感謝の気持ちを伝えることで、家族自身も心の整理が進み、後悔のない時間を過ごすことができます。

余命宣告を受けた後、家族や本人との思い出を形に残すために写真をたくさん撮っておくことをオススメします。
写真を撮っておくと本人が亡くなった後も、本人のことを思い出し、懐かしむことができます。
また葬儀の際に遺影写真が必要になるため、そのために撮っておくという方もいます。

余命宣告を受けた本人だけでなく、家族にも精神的、肉体的な負担がかかります。
「本人が一番つらいんだから」と家族が自分を犠牲にして無理をしてしまい、心身が消耗してしまうことも多々あります。
自分が原因で家族が疲労している様子を見るのは患者本人にとっても辛いことです。

リフレッシュの時間を作ったり専門家の力を借りたりして、自分自身のことも大切にしてください。

余命宣告を受けた本人に対して、「きっと大丈夫だよ」や「奇跡が起きるよ」「元気出して」といった安易な励ましの言葉を掛けることは避けましょう。このような言葉は、本人に寄り添う気持ちを示しているつもりでも、かえって負担や孤独感を与える可能性があります。

「つらいね」「できるだけサポートするからね」など相手の感情を受け止め、共感やサポートの意思を示す言葉を掛けましょう。

また「そんなことで悩む必要はない」などの否定的な言葉も避けるべきです。

状況を理解したうえで、できる限りのサポートの姿勢を示しましょう。
家族だけができるサポートもあり、第三者ができることは少ないかもしれませんが、その姿勢を示すことが大切です。
しかし無理に干渉しようとせずに、本人や家族が助けを求めやすい状況を作り、助けを求められた際に対応できるようにしておきましょう。

余命宣告を受けた本人と外出する際には、患者の体調や安全に配慮する必要があります。

外出の際にはまず医師に相談して、無理のない計画を立てます。注意点や必要な持ち物を確認しましょう。
万全の準備をしたうえで、外出先では体調に注意しながら疲れたら早めに休憩を取ります。

万が一の際にはすぐに医療チームに連絡をできるようにしておきましょう。

エンディングノートは、自分の希望や意向を家族に伝えるためのツールです。

エンディングノートに記載する内容
基本情報: 氏名、生年月日、連絡先、家族構成など。
財産に関する情報: 銀行口座、不動産、保険、投資などの詳細。
医療や介護に関する希望: 延命治療の可否、希望する施設や医師について。
葬儀やお墓に関する希望: 葬儀の形式、参列者、墓地の場所など。
家族へのメッセージ: 感謝や最後に伝えたい言葉。

書き方のポイント
簡単な形式で始める: 難しく考えず、思いついたことから書き始めましょう。
定期的に見直す: 状況や気持ちの変化に合わせて更新してください。
家族に伝える: 書いたノートの存在を家族に知らせ、必要なときに活用できるようにします。/span>
エンディングノートは、手書きでもデジタルでも構いません。自分に合った方法で行いましょう。

財産整理と遺言書の作成は、残された家族への負担を軽減し、自分の意思を確実に伝えるために重要なステップです。以下に、具体的な手順と注意点をまとめました。

●財産整理の手順
財産の把握
所有する不動産、預貯金、株式、保険など、全ての財産をリストアップします。負債がある場合も同様に記録しましょう。

評価と分類
各財産の現在の価値を評価し、現金化しやすいものとそうでないものに分類します。これにより、相続時の分配がスムーズになります。
但し大変な作業も多いので体調と相談しつつ、専門家や家族の力も借りて行いましょう。

必要書類の整理
権利証書や契約書、通帳など、財産に関する書類を一箇所にまとめ、家族が確認しやすいように整理します。


●遺言書の作成
遺言書は、自分の財産をどのように分配するかを明確に示す重要な文書です。以下の点に注意して作成しましょう。

形式の選択
遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。自筆証書遺言は自分で手軽に作成できますが、法的要件を満たさないと無効になるリスクがあります。公正証書遺言は公証人の関与により、法的に確実性が高まります。

内容の明確化
相続人や受遺者の氏名、具体的な財産の分配方法、遺言執行者の指定など、詳細かつ明確に記載します。曖昧な表現は避け、誤解のないようにしましょう。

法的要件の確認
日付、署名、押印など、法律で定められた要件を確実に満たすことが重要です。特に自筆証書遺言の場合、全文を自筆で書く必要があります。

専門家への相談
弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、法的に有効な遺言書を作成できます。また相続税の対策や家族間のトラブル防止にも役立ちます。

これらの手順を踏むことで、財産整理と遺言書の作成がスムーズに進み、家族への負担を軽減できます。早めの準備と専門家の助言を活用し、自分の意思を確実に伝えることが大切です。