見当識障害とせん妄の違いは？原因や対処法の基礎知識

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最終更新日：2025年12月29日

高齢の家族が混乱して時間や場所が分からなくなる様子を見て、どう対処したらよいか戸惑った経験はありませんか？それは「見当識障害」や「せん妄」と呼ばれる状態の可能性があります。本記事では、これらの症状の違いと正しい対応方法について詳しく解説します。家族が安心してサポートできるように、正しい基礎知識を身につけましょう。

【目次】

見当識障害とせん妄とは？主な症状

見当識障害の症状
せん妄の症状とは

見当識障害とせん妄の原因と進行の違いを解説

見当識障害の主な原因と進行
せん妄の主な原因と進行

症状が現れたときの対応方法は？

見当識障害への対応
せん妄への対応

まとめ

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見当識障害とせん妄とは？主な症状

まず、見当識障害とせん妄とは何なのか、そしてどんな症状が現れるのかを紹介します。

見当識障害の症状

見当識障害とは、時間、場所、自分の状況について認識する能力が低下する症状です。
主に高齢者や認知症患者に見られることが多く、急激に進行することもあれば、ゆっくりと症状が進むこともあります。

見当識障害に現れる主な症状は2つです。

・時間感覚の混乱　
時間の経過が分からなくなり「今が何時か」「今日が何日か」を認識できなくなります。

・場所認識の混乱　
自分がどこにいるのか分からなくなります。自宅にいても、迷子のような感覚に陥る場合も。

せん妄の症状とは

せん妄とは、意識レベルの変動を伴う急性の精神状態の変化です。
見当識障害を伴うことも多く、数時間から数日間にわたって持続する場合も。
高齢者だけでなく、手術後の患者や感染症にかかった際にも発症しやすいとされています。

せん妄の症状は主に３つあります。

・睡眠リズムの乱れ　
昼夜逆転してしまい、夜間に活動的に。この症状が最も現れやすいとされています。
・幻覚や妄想　
実際には存在しないものが見える、聞こえるといった幻覚や、現実とかけ離れた考えに囚われる妄想が現れる場合があります。
・情緒の不安定さ　
急に興奮し、不安感が強まります。そうなると、突然怒り出し攻撃的になったり、泣き出したり。逆にやる気がなくなることもあります。

これらの特徴から、せん妄で生じる症状の方が「いつもと違う」と感じやすいでしょう。

見当識障害とせん妄の原因と進行の違いを解説

それでは、見当識障害とせん妄は、それぞれ何が原因で症状が引き起こされ、どのように進行していくのでしょうか。
違いを見ていきましょう。

見当識障害の主な原因と進行

見当識障害の原因は次の3つが考えられます。

1. 認知症
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症で見られることが多いです。

2. 脳血管障害
脳梗塞や脳出血により、認知機能が低下する場合に発生します。

3. 加齢による脳機能の低下
加齢そのものが原因となる場合もあります。

このような原因から、症状の進行は緩やかなことが多く、症状も比較的安定していると言われます。

せん妄の主な原因と進行

次に、せん妄の原因は次の4つが考えられます。

1. 感染症
尿路感染症や肺炎などの疾患によって引き起こされます。

2. 薬物の副作用
特定の鎮痛剤や抗うつ薬などでも発症することも。

3. 手術後の影響
麻酔や身体ストレスが原因で起こることもあります。

4. 脱水症状や栄養不足
特に食欲が低下している高齢者は要注意です。

せん妄の原因は、感染症だけでなく薬物や手術等の外的要因もあるため、進行は急激に変化し、症状は安定性がなく、意識レベルが時間帯によって変動するので、注意が必要です。

症状が現れたときの対応方法は？

これまで見てきたように、見当識障害とせん妄の原因や進行スピードは全く異なります。
では、症状が現れたとき、家族や介助者はどのような対応を取るのが適切なのでしょうか？解説していきます。

見当識障害への対応

見当識障害の場合、安心感を与えてあげることが必要です。具体的には次のような対応を心がけましょう。

・時間や場所の情報を提供する
カレンダーや時計を見やすい場所に置き、日付や時刻を伝えるようにしましょう。
・落ち着いた環境を整える
照明を明るく保ち、生活空間をシンプルに整えることで混乱が起きにくくなります。
・安心感を与えるコミュニケーション
混乱しているのに、間違いを強く指摘するのはいけません。優しく話しかけ、安心感を与えることが大切です。

以上のように、見当識障害は症状が比較的安定しているので、治療の緊急性はありません。周囲の継続的なケアが必要です。とはいえ、心配であれば医師に相談をしましょう。

せん妄への対応

せん妄は軽度の意識障害に該当するので、早めの対応が求められます。具体的には次の対応をしていきましょう。

・医師への相談
意識レベルが時間帯によって変動します。急な症状が現れた場合は、薬剤コントロールが必要なことも。すみやかに医師に相談しましょう。
・優しい声かけや傾聴
興奮状態でも、慌てて静止しようとするのはかえって逆効果。不安を和らげるため、やさしい言葉がけやふれあいを心がけ、本人の言動に耳を傾けましょう。
・適切な水分補給と栄養管理
脱水や栄養不足が原因となることもあるため、注意が必要です。水分摂取を促し、少量でも高栄養の食事を提供しましょう。
・環境の整備
刺激の少ない静かな環境を整え、症状の悪化を防止することも大切です。

まずは症状を観察し「せん妄かも」と感じたら、すみやかに医師に相談することで悪化を防げます。

まとめ

見当識障害やせん妄は、高齢者に多くみられる症状ですが、それぞれ異なる特徴を持ちます。
家族が正しい知識を持ち、適切に対応することで、本人も家族も穏やかに過ごすことが可能です。

本記事を参考に、早めの医療機関の相談や、家庭でのケアを通じて、安心できる環境づくりを進めましょう。

参考：寝たきり老人の介護に疲れた家族が知っておきたい施設探しのポイント｜静岡老人ホーム紹介タウンYAYA