時宗の教えや歴史とは？葬儀や戒名の特徴を解説

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最終更新日：2025年6月25日

時宗は鎌倉時代から存在する浄土系の宗派として、名前を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、「他の浄土系宗派とどう違うのか」「時宗の葬儀や戒名にはどのような特徴があるのか」など、気になる方もいるのではないでしょうか。本記事では、時宗の教えや歴史、他の宗派との違いも紹介します。

【目次】

時宗の教えと特徴

時宗の歴史と広がり
一遍上人について
時宗総本山遊行寺とは
地域別の時宗寺院

時宗の修行方法

踊念仏
遊行

時宗の教えと浄土宗・浄土真宗との違い

時宗と浄土宗について
浄土真宗について

時宗の葬儀・法要・戒名

葬儀・法要の流れ
戒名の特徴

まとめ

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時宗の教えと特徴

時宗は、全国を巡りながら布教する「遊行（ゆぎょう）」が特徴とされています。
最初に、時宗の基本的な教えや歴史、総本山である遊行寺、全国の時宗寺院について詳しく紹介します。

時宗の歴史と広がり

時宗は、「念仏さえ唱えれば誰でも極楽浄土へ往生できる」という教えを説いています。特に、一遍上人は「念仏を称えること自体に価値があり、誰でも受け入れられる普遍的なもの」と考えました。

さらに、時宗の僧侶は定住せず、全国を巡る「遊行僧」として布教活動を行うことが特徴です。

また、鎌倉幕府の協力（擁護）を受けたこともあり急速に広がりました。特に戦国時代には、念仏を通じて人々の精神面を支える役割を果たしたとされています。江戸時代以降は各地に定着し、多くの時宗寺院が建立されました。

一遍上人について

一遍上人（1239〜1289年）は、時宗の開祖であり、念仏を広めるために全国を遊行しました。武士や貴族だけでなく、庶民にも分け隔てなく念仏の教えを説いたため、多くの人に支持されました。

また、「賦算（ふさん）」と呼ばれる念仏札を配ることで、人々に念仏の功徳を広めたことでも知られています。

時宗総本山遊行寺とは

神奈川県藤沢市にある清浄光寺（通称：遊行寺）は、時宗の総本山です。

歴代の時宗の僧侶が「遊行上人」としてここを拠点に活動していました。境内には一遍上人の像や歴史を伝える資料があり、今も多くの信者や観光客が訪れます。

地域別の時宗寺院

全国には多くの時宗寺院が存在します。代表的な寺院を地域ごとに紹介します。

関東：清浄光寺（神奈川）、光明寺（鎌倉）
関西：四天王寺（大阪）、報恩寺（京都）
東北：常念寺（宮城）、西念寺（福島）
中部：蓮華寺（長野）、浄光寺（静岡）

時宗寺院は、各地に点在しています。

それぞれの寺院で独自の歴史や文化が存在しており、実際に訪れることで時宗の教えをより深く学べるでしょう。

時宗の修行方法

時宗は仏教の一派であり、念仏を中心とした修行が特徴です。
特に、念仏を唱えながら踊る「踊念仏」や、全国を巡る「遊行」といった独自の修行方法が挙げられます。

ここでは、それぞれの修行について紹介します。

踊念仏

踊念仏は、一遍上人が広めた修行の形で、念仏を唱えながら身体を動かし、踊ることで信仰を深めるものです。

浄土への往生を願いながらも、形式にとらわれず、喜びをもって修行できる方法として多くの人に受け入れられました。踊念仏は時宗の布教活動において重要な役割を果たし、庶民にも親しみやすい方法として広まりました。

遊行

時宗の僧侶は、一か所にとどまらず全国を巡る「遊行（ゆぎょう）」を修行の一環としています。

一遍上人も生涯を通じて諸国を旅しながら布教し、念仏の教えを広めました。遊行によって、時宗の僧侶は多くの人と接し、直接教えを説くことができたのです。巡礼の精神は、現在でも「遊行上人」として継承され、藤沢市の清浄光寺（遊行寺）が中心地となっています。

時宗の教えと浄土宗・浄土真宗との違い

時宗は、浄土宗や浄土真宗と同様に阿弥陀仏の本願を信じることを重視しますが、教えにはいくつかの違いがあります。
ここでは、それぞれの特徴から見る違いを紹介します。

時宗と浄土宗について

時宗では各地を巡りながら布教をし、すべてを捨てて念仏を称えることを理想とします。つまり、他の修行や学問を重視せず、身分や階級を問わず誰もが念仏を称えることで往生できると説いたのです。

一方、浄土宗は法然上人が開き、「専修念仏」を掲げて「南無阿弥陀仏」と称えることが阿弥陀仏の救済に直結すると説きます。浄土宗では善行や学問も有益とはされますが、最も重要なのは念仏であり、念仏によって極楽浄土への往生が可能であると考えられています。

時宗が踊念仏による布教と遊行を重視し、すべてを捨てて念仏を称えることを理想とするのに対し、浄土宗は専修念仏を重視し、念仏そのものが阿弥陀仏の救済に直結すると説く点です。

浄土真宗について

浄土真宗は親鸞聖人によって開かれ、法然の教えをさらに深めたものです。特に「絶対他力」の考えが強調されています。阿弥陀仏の本願を信じること自体が救いであるとし、念仏を称えることすら阿弥陀仏のはたらきによるものと捉えます。

そのため、修行や功徳を積むことではなく、阿弥陀仏を信じる「信心」が最も重要視されることが特徴です。

時宗・浄土宗・浄土真宗は阿弥陀仏の本願を信じるという点は共通しますが、実践方法や教義の解釈には違いがあります。

時宗の葬儀・法要・戒名

時宗は、阿弥陀仏の本願を信じて念仏を称えることで、極楽往生が叶うとする教えに基づいた葬儀や法要が行われます。
ここでは、時宗の葬儀や法要の流れ、戒名の特徴について紹介します。

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葬儀・法要の流れ

時宗の葬儀は、他の浄土宗系の宗派と同様に、故人の往生を願い「南無阿弥陀仏」と称えることを中心に行われます。通夜や葬儀では僧侶が読経、参列者も念仏を称え、故人が極楽浄土へ導かれることを願います。

火葬後は、初七日、四十九日、一周忌、三回忌などの法要が行われる流れです。時宗の法要では特に念仏を大切にし、故人の供養のためだけでなく、遺された者が共に念仏を称える機会とされています。

戒名の特徴

時宗の戒名は、浄土宗と同様に「法名」と呼ばれ、一般的に「○○阿（尼）弥陀仏」や「○○阿（尼）」という形です。
戒名は、阿弥陀仏の名を称えることによって極楽往生を願う時宗の教えを反映しています。生前に得る場合もありますが、通常は葬儀の際に付けられます。

また、時宗では特に身分や階級にこだわらず、すべての人が阿弥陀仏の本願によって救われるとするため、戒名の格式に差が少ない点が特徴です。時宗の教えに基づき、念仏を称えた人が平等に極楽往生できることを、戒名にも表しています。

まとめ

時宗の教えは、身分や戒律にこだわらず、誰でも「南無阿弥陀仏」と称えることで極楽往生できるという平等なものです。シンプルで実践しやすい信仰は、現代の終活にも活かせるでしょう。

また、生前から念仏を唱える習慣を持つことで、心穏やかに最期を迎える準備ができます。終活を考えるうえでの時宗の教えは、死を怖れることなく、日々を大切に生きるための方法です。念仏を習慣にし、自分らしい最期を迎える準備を始めてみるのも良いでしょう。