浄土真宗に位牌が不要な理由とは？浄土真宗で位牌を作りたい場合の方法を紹介！

Q: 浄土真宗に位牌がないのはなぜですか？

浄土真宗には往生即成仏という考えがあります。 往生即成仏では亡くなった人はすぐ極楽浄土へ導かれるため、魂の状態で現世に留まることはありません。 位牌は故人の魂を留める場所として安置するので、魂が留まらない浄土真宗では不要というわけです。

Q: 浄土真宗では本位牌はどうしますか？

位牌が不要なので本位牌は作成しません。

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最終更新日：2025年6月25日

仏壇には、位牌を飾ることが当たり前だと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、実は浄土真宗では位牌をかざることそのものがご法度とされています。浄土真宗ではなぜ位牌がご法度なのか、そして浄土真宗で位牌を飾ることは不可能なのかを本記事では分かりやすく解説します。

【目次】

位牌とは？

浄土真宗では位牌が不要な理由とは？

浄土真宗における故人の偲び方とは？

浄土真宗では戒名ではなく法名を授かる
位牌の代わりに法名軸を飾る

法名軸はどこに掛ける？

法名軸は何人分まで使える？

浄土真宗で位牌を作成するのは不可能？

真宗高田派ならば位牌の作成は可能
菩提寺に相談すれば作成してもらえることも

法名軸を購入する際にチェックしておきたいポイントを紹介！

サイズ
デザイン
費用

法名軸のお手入れ方法

まとめ

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位牌とは？

位牌は仏教と深く関わりがあるように感じますが、中国の儒教での風習が日本に伝わって普及したものです。
位牌は主に木製であり、故人の法名・法号と没年月日が明記されています。
位牌は故人の魂が宿っているものとして仏壇に安置されていて、仏壇に飾る仏具のなかでも特に重要なもののひとつです。

位牌は大きく分けて白木位牌と本位牌に分けられます。
白木位牌は葬式のときに用いる仮の位牌で、四十九日法要まで仏壇に安置され、使用後はお焚き上げをしてもらってその役目を終えます。
四十九日法要のときに菩提寺などで開眼供養を行って魂を本位牌に移します。

供養後、本位牌は仏壇に飾って供養します。

浄土真宗では位牌が不要な理由とは？

浄土真宗で位牌が不要である理由は、往生即成仏という独自の教えによるものです。

往生即成仏では、亡くなった人は即座に極楽浄土へと導かれるとされています。
そのため、亡くなった人が魂の状態で現世に留まっている時間というのがありません。
魂が現世にとどまらないのならば、魂が宿る場所である位牌は不要というわけです。

浄土真宗における故人の偲び方とは？

浄土真宗で位牌が不要である理由について解説しました。
では、浄土真宗では位牌の代わりにどのような形で故人を偲ぶのでしょうか。
本項目では浄土真宗の故人の偲び方である法名軸と過去帳について解説します。

浄土真宗では戒名ではなく法名を授かる

浄土真宗では成仏して仏の弟子となった故人に対して、戒名ではなく法名を授けます。
一般的な仏教では仏弟子になった故人に対して戒律を守ってもらうという意味で授かるのが戒名です。

一方、浄土真宗では亡くなった人はすぐに極楽浄土へ行くという考えであるため、仏弟子となる証である法名を授かります。

位牌の代わりに法名軸を飾る

位牌の代わりに浄土真宗では法名軸という小さな掛け軸を仏壇に飾ります。
法名軸は以下の項目を記載します。

・法名
・俗名
・没年月日
・享年

法名は先頭の「釈」という字の下に2文字の法名を付けるのが通例です。
俗名は個人が生前使っていた名前で、本名の事です。
法名軸はお寺に作成を依頼し、四十九日法要までに準備します。

浄土真宗における故人の偲び方には過去帳という方法もあります。
過去帳では直近に亡くなった方だけではなく、先祖代々を含めて一族全員の法名・俗名・没年月日・享年などを明記します。

過去帳は仏壇の上に飾るのではなく、仏壇の引き出しの中に保管します。
ただし、法要や月命日のときは過去帳台という専用の台の上に置き、仏壇内に飾ります。

法名軸はどこに掛ける？

法名軸は通常仏壇の内側に掛けておきます。
仏壇に向かって右側に両親や最近亡くなった方の法名軸を飾り、左側には先祖代々の法名を飾るのが一般的です。正しい飾り方は法名軸を作成したお寺などに確認しましょう。

かける際は仏壇内に安置している阿弥陀仏が隠れないように飾ります。
また、法要のときは仏壇の前に掛けたり、お盆のときには盆棚に掲げるなど飾る場所が変わることもあります。

法名軸は何人分まで使える？

法名軸は複数人をひとつの法名軸に記載することも可能ですが、1人につきひとつ準備するのが一般的です。
やむを得ず複数人の名前をひとつの法名軸に記載しなければならない場合は、お寺に相談することをおすすめします。

浄土真宗で位牌を作成するのは不可能？

浄土真宗の教えでは位牌を飾らないことが一般的ですが、中には位牌を作って毎日手を合わせたいという人もいることでしょう。
浄土真宗での位牌作成は可能なのか、可能ならばどのように位牌を作成すればよいのかを解説します。

真宗高田派ならば位牌の作成は可能

浄土真宗の宗派のひとつの真宗高田派ならば位牌を作成できます。
真宗高田派では故人の冥福を祈ることを否定していないので、位牌を作っても咎められることはありません。

ただし、一般的な位牌の安置場所である本尊の前には置かないようにと決められています。
位牌は左右または下段に安置しましょう。

菩提寺に相談すれば作成してもらえることも

真宗高田派以外の浄土真宗であっても、位牌を安置することは不可能ではありません。
ただし、位牌の安置を認めてもらえるかは菩提寺の考えによります。
勝手に作成すると菩提寺とのトラブルの元となるので、必ず作成前に位牌を作りたい旨を伝えて指示を仰ぎましょう。

法名軸を購入する際にチェックしておきたいポイントを紹介！

法名軸と一口にいっても大きさやデザインなどさまざまです。
本項目では法名軸を購入する際に見ておきたいポイントについて解説します。

サイズ

法名軸を選ぶ際にもっとも重視しなければならないのはサイズです。
仏壇にはさまざまなサイズがあり、仏壇に見合ったサイズの法名軸を選ばなければ法名軸を正しい位置に飾れなかったり、本尊が隠れてしまったりする恐れがあります。
一般的な仏壇と同サイズ（18号）ならば、3.5寸（約10.5センチ）の法名軸が最適なサイズです。

デザイン

法名軸のデザインのバリエーションは実にさまざまです。
伝統的なものもあれば、現代風に洗練されたモダンなものもあります。
法名軸のデザインについては特に決まりはありませんが、仏壇や仏具の色・デザインを考慮して調和の取れそうなものを選ぶとよいでしょう。

費用

法名軸は5,000円から1万円近くするものまで価格帯が幅広いです。
高ければ良いというものでも、安いものは良くないというものでもないので、予算を考慮して負担のない価格のものを選びましょう。

法名軸のお手入れ方法

法名軸は特にお手入れが必要な仏具ではありません。
色褪せを防ぐためにできるだけ風通しの良い日陰になる場所に安置し、乾いた布やブラシなどで軽くホコリを払う程度でよいでしょう。
汚れやシミが気になる場合は自分で処置せず、菩提寺や仏具店に処置を依頼することを推奨します。

まとめ

浄土真宗では亡くなった人はすぐに極楽浄土に導かれると教えます。
位牌は個人が魂の状態で現世に留まる時の場所として安置される仏具ですが、浄土真宗では魂が留まるという概念がないため、位牌は安置しません。
浄土真宗では位牌の代わりに法名軸や過去帳を作成して個人を偲びます。
ただし、真宗高田派では位牌の安置は認められていますし、菩提寺が許可を出せば浄土真宗でも位牌の作成は可能です。