片岡さんは葬儀に関して、どのようなことに気を付けていますか?
ご家族様一人ひとりの言葉にしっかりと耳を傾け、どんなニュアンスからでも想いを汲み取るようにしています。その想いからどんな葬儀がいいだろうと考え、ご家族様に寄り添ったご提案をしています。 ご提案の中で、様々なご家族様から生前の故人様のお話をお伺いしているのですが、お話を聞いている内に感情移入してしまい、私自身も“家族”になったような気持ちになりますね。
葬儀社としての立場からも、家族としての立場からも葬儀について考えてくれるってことですよね。
そうですね。 様々な想いを汲んで、要望や理想をお聞きしていると寄り添い過ぎるくらい寄り添ってしまいます。たとえば葬儀の金銭面や段取りの部分で、ご家族間で揉めてしまうのは心苦しくなったりします。
寄り添いすぎるというのは“強み”にもなりますし、お客様からしたらとても安心できますね。
確かにそうですね。ご家族様の言葉に耳を傾けられる能力というのは、人一倍強いと思いますので、ぜひ安心して任せてほしいです。
今までで印象に残っている葬儀はありますか?
そうですね。生前に絵画教室の先生をされている方がお亡くなりになられて、自宅で葬儀を行いたいというご家族のご要望がありました。 自宅が教室兼アトリエだったのですが、そこにご安置しました。 生前描いていた絵で棺を取り囲むようにお飾りし、葬儀ではなく「展示会」という名目にしました。
葬儀を展示会にしてしまったのですね。
ご安置してから葬儀当日までは一般開放して、生徒さんやお客様にもご拝顔いただき、絵も見ていただけるようにしました。 ご家族様も、来てくださった方も「すごく先生らしい葬儀になったね」と大変喜んでいらっしゃったことが印象に残っています。
「展示会」というのは片岡さんからご提案したのですか?
お客様から「自宅で行いたい」という要望はお聞きしていました。 お話を深く聞いていくうちに「きっと”故人様らしい”と思うような葬儀をしたいのかな」と思ったんです。 そこで「せっかくのアトリエなので展示会のような形でお別れしてみてはいかがですか」とご提案しました。
すごいですね。初対面でそこまで考えてもらえるのはとても安心できます。
”家族”のように寄り添った提案をするために、心掛けていることはありますか?
ご遺族の心情はナーバスになっているので、最初はこちらから強くご提案やご案内はしないようにしています。 まずご家族様と対面させていただいたとき、故人様のご生前の人柄やご趣味、本当に些細なことですが、どんな色が好きだったのかなども深く掘り下げさせていただくことを心がけています。
本当の“家族”のように細かいところまで知ろうとしているのですね。
私自身は故人様と生きている間にお会いして、お話することができません。だから一番身近な方からお話をお聞きし、話し方や表情等からヒントを頂いてご提案させていただいています。
本当の”家族”のように想っていないとそこまで考えられないですよね
考えすぎてしまうのも課題ですね。 ご家族様との葬儀の打ち合わせから葬儀を終えられるまでは、「どんな葬儀がいいか」をずっと考えて、悩んでしまいます。 目の前のご家族様の思いを汲み取ってサポートしたいと、ずっと考えちゃうんですよね。
それだけ家族のことを考えていると、葬儀が終わった後はとてもホットしそうですね。
やっぱりすごい気が抜けます。 葬儀が終わるまでは、私自身もすごく気を張ってしまいますので。 でも最後まで責任をもって葬儀をお手伝いするよう心がけています。
素晴らしい心がけですね。 では、それを行うために今努力していることはありますか?
「強い耳」をもっと強く持てるように日々努力しています。 この業界に八年間携わらせていただいていますが、最初の頃はどうしてもご家族様と私の方でのお話の中で、細かいニュアンスを汲み取ることができない心苦しい経験をしたこともありました。 ここ最近は、だんだんとご家族様のお気持ちを汲み取れるようになってきましたが、現状維持ではなくこれからも精進して「強い耳」をもっと強くできるように努力していきます。
プライベートでの過ごし方を聞いてもいいですか?
家でのんびりすることが多いですが、一番はサウナで整えることですね。
僕もサウナは大好きです。
サウナに入って現場の反省や振り返りをしていますね。 やっぱりひとりになれる環境なので、仕事の反省点などを考えてしまいますね。
反省ってやっぱり出てきちゃいますよね
「もっといい提案方法があったのじゃないのかな」と時間ができると考えてしまう性分ですね。
将来の展望を教えていただけますか?
今年の一番の目標は、携わった葬儀ですべての方に「片岡さんで良かった」と思ってもらえる担当になることです。 アンケートをご家族様にお渡ししているのですが、まだまだご意見やご指摘をいただくことが多いので、それがないようにしたいと思っています。