葬儀社を起業した「きっかけ」はどのようなものでしたか?
私が葬儀社を起業するきっかけは、27、28歳頃のことです。 当時から人材派遣で葬儀の仕事をしていました。しかしその頃はまだ、ブラブラとアルバイトとして働いている状態でしたね。 そんなある時、友人が亡くなりました。 私はその友人のご両親や、別の友人たちから「助けてくれ」という連絡を受けました。しかし、私はまだアルバイト。何もすることができなかったんです。
それは非常に悔しいですね。
はい。非常に悔しかったです。 ご両親からしてみれば、藁にもすがる思いで連絡してくれたのでしょう。 それなのに、何もしてあげられない悔しさ。今でも後悔しています。 それにその友人とは、とても仲が良かったのです。 亡くなる前々日までラインで話していました、とあるイベントにも誘われていました。まさか亡くなるとは、思ってもみませんでした。
その後悔を機に、葬儀社を起業したのですね。
その通りです。 「助けてくれ」と言われたら、助けてあげたい。そんな気持ちがあり、立ち上げました。 やはりみんなを助けるには、会社を立ち上げるのが一番なので。
葬儀の仕事でやりがいを感じる場面はありますか?
ありません。 葬儀というのは”弔い”です。だから達成感はありませんね。
なるほど。確かにそうですね。 では、意識していることはありますか。
ちゃんと送ってあげる手伝いができたか、至らぬ点がなかったか。それらを常に反省し、意識しています。 葬儀の仕事はご家族が故人にかけている想いを汲み取る仕事です。その想いをうまく汲み取ることで感謝されます。感謝されて頑張ろうと思える。 しかしその反面、ご家族の意図をうまく組みとれない場面があります。そういった時はご家族の悲しみを深くしてしまう結果となるでしょう。過去にそういった場面がいくつもありました。 一つ一つ葬儀は違う。ご家族はどんなことを考えているか、亡くなった方に何をしてあげたいのか。それをご家族と向き合う際は、意識しています。 いままで汲み取れなかった”想い”への戒めの意味をもって、常に反省していますね。
山上さんはストイックに葬儀と向き合っているんですね。 その心がけに感服いたします。
社長の強みはなんですか?
チャレンジ精神ですね。 いかなる葬儀にも果敢に挑戦しています。 果敢過ぎて、できないことにも「できる」と言ってしまいます。それ故、たいへんな苦労になることもあります。 しかし遺族の気持ちを最大限汲み取りたい。そんな信念からできないことでもチャレンジして、できるように変えてきました。
それは心強いですね。 実質できないことがないということですか。でも、挫けそうになったことはないんですか?
ないですね。挫折や失敗があっても後ろ向きにはならないです。 過去、何度も折れてきましたから。友人の死や葬儀の失敗などいろいろありました。それを乗り越えた私に挫折はありません。 ただ、時には「くぅわぁぁぁーーー、どうするかなぁーー」という気持ちになることはあります。
メンタルが鋼ですね。 過去の挫折から現在のメンタルを手に入れたのですね。
はい、その通りです。過去の挫折から多くのことを学び、強くたくましくなってきたのだと思います。それが、現在のチャレンジ精神にも繋がっています。
会社のビジョンはありますか。
「みんなで早く帰ろう」ですね。 やっぱり、会社の財産は人なんです。人がいなければチャレンジもできませんし、葬儀を執り行うこともできません。 だからプライベートを大切にして、充実させて、元気でいてほしいんです。そんな想いから「みんなで早く帰ろう」がビジョンですね。
社長が「プライベートを大切に」と言ってくださるのは従業員としては心強いですね。
今はもう「帰らないのが美徳」、「残業してなんぼ」の昭和ではないんです。 昔はそれでよかったかもしれないですが、今は令和。そのようなやり方では会社としても生き残れないし、心が折れてしまいます。 現代を生き抜くためにも、休みを充実させ、プライベートも大切にすることが必要なのです。社員が心身ともに健康であることが、葬儀社としての最大の強みだと考えています。
時代の流れをしっかり押さえた上で、経営を行っているんですね。 参考になります。
『心に遺るお葬式』さんの葬儀の特徴はありますか?
一般的な葬儀とは異なり、最近では「お別れ会」を積極的に行うことが特徴ですね。
なるほど。質問なのですが、”お別れ会”とはどのようなものなのでしょうか。
お別れ会とは、「故人らしさ」を追求した葬儀です。 一般の葬式とは違い、亡くなった人の思い出やエピソードを話したり、写真を見たりして、楽しいことを一緒に共有することができます。例えば、好きだった曲や映画を見たり聴いたりすることもできます。 大切な人との別れはとても寂しいものです。しかしお別れ会を通じて、故人との思い出を大切にし、心を癒すことができます。私たちは、家族や友人たちが想いを込めてお別れ会を行えるよう、サポートをしています。
葬儀とは違って、かなり自由に故人をお送りすることができるんですね。
その通りです。 現代では経済的な理由から「火葬式」が選ばれやすい傾向にあります。しかし打ち合わせなどで、よく話を聞いてみると、遺族が抱える故人への想いは非常に深い場合がほとんどです。 “お別れ会”はあまり知られていないだけで、金銭的にも一般的な葬儀より安価になります。そのため、積極的に我々は”お別れ会”の提案をしているんですよ。
遺族の真の想いを考えて、提案を行うんですね。素晴らしい心がけです。
ご趣味はありますか。
趣味はバイクですね。 最近だとオークションサイトで大型バイクの「デイトナ」を買いました。前オーナーさんがとても優しくて、一緒に車検も行ってくれました。
おお、デイトナですか。かっこいいですよね。大型バイクともなると操作も難しくはないですか。
2速から3速にシフトする際、つなぎがうまくいかないことがあるんです。 回転数を4000から5000で繋げたいですね。5000回転を越えると、急に加速が始まって驚くほど速くなります。本来は4速ぐらいで引っ張って、5000回転でスムーズに高速に入りたいんですよ。でも、信号が多いからなかなかできません。 だから、5000回転を楽しめる道を探したいです。
東京では難しいかもしれませんね。アクアラインぐらいかもしれません。