お布施が少ないと言われたらどうするべき？法要別・宗派別の相場を紹介

お布施が少ないと言われたとき、相場より大幅に少ないならば、追加でお布施を渡すことを検討しましょう。渡すタイミングに決まりはないので、葬儀や法要が終わってから渡しても問題ありません。寺院とは長いお付き合いになるので、今後も良好な関係が続けられるよう、真摯に対応しましょう。

相場より高額なお布施を要求されたり、経済的に苦しい場合は、寺院を変えるのも選択肢のひとつです。本当に相場より高いのか、金額の妥当性をよく確認して検討しましょう。不安な場合は葬儀社などに相談するのも一つの手です。

戒名とは、仏様の世界で与えられる故人の新しい名前です。基本的に文字数が多いほど格上とされています。戒名は「院号」「道号」「戒名」「位号」から成り立っています。院号は地位の高い人や、社会的貢献度が高い人に与えられ、院号がつかない戒名も多いです。このように戒名にはランクがあり、位が高いほどお布施の金額の目安も高くなります。

宗派や寺院によってお布施の目安は異なります。相場からかけ離れていると、少ないと指摘されるかもしれません。金額に悩んだら、親族や同じ檀家の方に相談すると良いでしょう。

宗派別の葬儀のお布施の金額相場は下記の通りです。
臨済宗
5万円未満：14%
5～20万円：28%
20～50万円：41%
50万円以上：17%
平均支払い金額：約35.4万円

天台宗
5万円未満：8%
5～20万円：44%
20～50万円：36%
50万円以上：13%
平均支払い金額：約26.7万円

曹洞宗
5万円未満：18%
5～20万円：39%
20～50万円：31%
50万円以上：12%
平均支払い金額：約26.6万円

日蓮宗
5万円未満：26%
5～20万円：34%
20～50万円：24%
50万円以上：16%
平均支払い金額：約25.7万円

真言宗
5万円未満：20%
5～20万円：41%
20～50万円：33%
50万円以上：6%
平均支払い金額：約21.2万円

浄土宗
5万円未満：25%
5～20万円：40%
20～50万円：27%
50万円以上：8%
平均支払い金額：約19.5万円

浄土真宗
5万円未満：24%
5～20万円：47%
20～50万円：23%
50万円以上：6%
平均支払い金額：約18.1万円

その他の宗派
5万円未満：30%
5～20万円：40%
20～50万円：26%
50万円以上：4%
平均支払い金額：約15.0万円

北海道・東北、関東、関西、九州・沖縄とエリアごとにお布施の平均金額は多少異なります。近所の方に相談して、地域の相場を確認しましょう。

「葬儀の口コ」が調査したデータでは、地域ごとの葬儀のお布施の金額相場は下記の通りとなっています。
北海道
5万円未満：20%
5～20万円：49%
20～50万円：31%
50万円以上：0%
平均支払い金額：約15.6万円

東北
5万円未満：21%
5～20万円：37%
20～50万円：34%
50万円以上：7%
平均支払い金額：約21.7万円

関東
5万円未満：22%
5～20万円：39%
20～50万円：28%
50万円以上：12%
平均支払い金額：約24.7万円（全国最高）

中部
5万円未満：21%
5～20万円：38%
20～50万円：32%
50万円以上：10%
平均支払い金額：約22.8万円

近畿
5万円未満：26%
5～20万円：48%
20～50万円：23%
50万円以上：4%
平均支払い金額：約15.8万円

中国
5万円未満：14%
5～20万円：60%
20～50万円：20%
50万円以上：7%
平均支払い金額：約19.9万円

四国
5万円未満：40%
5～20万円：44%
20～50万円：12%
50万円以上：4%
平均支払い金額：約12.5万円（全国最低）

九州・沖縄
5万円未満：32%
5～20万円：39%
20～50万円：27%
50万円以上：4%
平均支払い金額：約16.6万円


お布施の金額には明確な地域差が見られます。最も平均金額が高いのは関東地方で約24.7万円、最も低いのは四国地方で約12.5万円と、約2倍もの差があります。
地域ごとの傾向を見ると、四国と九州・沖縄地方では5万円未満の低額支払いの割合が特に高くなっています。
一方、中国地方では支払い金額が5～20万円の中額帯に60%も集中しており、他地域に比べて金額の統一性が高いのが特徴です。東北、北海道、中部地方では20～50万円の高額帯の割合が30%前後と高い傾向にあります。また関東地方は50万円以上の超高額支払いの割合が12%と全国で最も高く、金額のばらつきも大きくなっています。

葬儀・告別式のお布施の相場は10万円～50万円。読経が多く、戒名を授けてもらうため、他の法要に比べて相場が高いです。宗派によってもっと高額になることもあります。

四十九日法要のお布施の相場は3万円～5万円。親族が集まって納骨や会食をするのが一般的です。僧侶が会食を辞退された場合は、お布施とは別に御膳料（食事代）をお渡しします。

年忌法要のお布施の相場は、一周忌では3万円～5万円、三回忌以降では1万円～5万円が相場です。僧侶による読経、会食をおこないます。

初盆のお布施の相場は3万円～5万円。初盆では、僧侶を招いて読経や会食をおこなうことが多いです。

曹洞宗のお布施は30万円～100万円が相場です。お布施の相場が一番高いと言われているのが曹洞宗です。戒名の位によってお布施の相場が変わり、もっとも格式の高い戒名である「院居士・院大姉」を授かる場合は100万円以上が相場です。規模によっても金額が変わるので注意しましょう。

真言宗のお布施は30万円～100万円が相場です。真言宗も戒名の位の高さによってお布施の相場が変わります。

浄土真宗のお布施は10万円～30万円が相場です。日本で一番多いのが浄土真宗といわれています。浄土真宗は戒名がない代わりに法名がありますが、お布施は必要ありません。そのため、葬儀のお布施は他の宗教より相場が低めです。

日蓮宗のお布施は30万円～50万円が相場で、日蓮宗も戒名の位によってお布施の相場が変わります。一般的な位の「信士・信女」では30万円前後がお布施の相場です。一番高い位の「院居士・院大姉」では100万円以上が相場となっています。

お布施は奉書紙（ほうしょし）に包むのが一番丁寧とされています。その場合、直にお札を包むのではなく、中包みとして半紙でお札を包んでから奉書紙を包むようにしましょう。もし奉書紙が用意できない場合は、無地の白色封筒で渡しても問題ありません。その際は中袋を使用しないでください。不幸が重なることを連想させるため、縁起が悪いと言われています。お札が透けないように、なるべく厚手の封筒を使うと良いでしょう。

お布施を渡すときの作法として、そのまま渡すのではなく、切手盆に袱紗で包んだお布施を乗せて僧侶に渡します。もし切手盆が用意できない場合は、袱紗に入れ、僧侶の前で袱紗からお布施を出して渡しましょう。袱紗は明るい色は避け、寒色系のものがふさわしいです。